どちらを選ぶか困ったときは、「良い・悪い」ではなく、「好き・嫌い」で選んでみる
自分がどういう行動を取ったほうがいいのか、判断に困るときって、ありますよね。
判断や選択に困ったときは、「良い・悪い」ではなく、「好き・嫌い」で選んだほうが、自分にフィットした判断になります。
「自己犠牲」は良いこと?悪いこと?
「私は、息子に、自己犠牲の精神を大切にすべきと教えたほうがいいのか、悩んでいるんです。どうしたらいいでしょうか」
中学生の息子さんがいる女性が、本当に困った様子で言いました。
その女性は、自己犠牲の精神を大切にしています。
なんと、みんなが嫌がる仕事、つまり、損をするような仕事を、喜んで引き受けているのです。
ですが、同じ職場の人が、楽をして得をする仕事を選んでいるのを見ると、複雑な気持ちに…。
自分は、損をしても構わないが、息子にも、損をする人生を歩ませてもいいのか。
自己犠牲の精神を大切にして、収入が少なくなったら、息子は、将来、家族を養えなくなるのではないか。
でも、息子が、人を押しのけて、楽をして得を取るような人間には、なってほしくない。
息子さんを大切に思うからこその悩みです。
「良い・悪い」は一概に判断できない
何が良いことで、何が悪いことであるかは、一概には言えません。
どんな事柄にも、メリットとデメリットがあるからです。
例えば、
自己犠牲を大切にすること。
メリット:周りの人から、人徳がある人と思われ、信頼される。
デメリット:貧乏くじを引く。損をする。
自己犠牲を軽んじ、自分の利益を優先すること。
メリット:当たりを引く。得をする。
デメリット:周りの人から、ずるい人だと思われ、信頼を失う。
また、一般的に「悪い」と評価されることでも、まったく違った状況のもとでは、「良い」と評価される事柄もあります。
極端な例ではありますが、人を殺すこと。
平和な社会では、殺人は、重大な犯罪です。
一方、戦争のときに、敵側の人を殺すことは、大切な任務。
そして、大勢を殺した人は、英雄になります。
何をもって判断すればいいのか、悩んでしまいます。
「好き・嫌い」で判断してみる
判断に困る人は、たいていの場合、真面目に、誠実に生きています。
そして、相手の痛みを知ることができます。
既に、良心がそなわっているのです。
自己中心的で、相手を傷つけても平気だという人は、そもそも悩まない気がします。
判断に困ったときは、そのときの「好き・嫌い」で決めてみてはどうでしょう。
ただ、「好き・嫌い」で決めることにも、メリットとデメリットがあります。
メリット:外の基準ではなく、自分の基準で決めるので、自分の気持ちにフィットした選択ができる。
デメリット:周りから、わがままと思われるのが、恐い。うまくいかなかったとき、周りのせいにできず、自分で責任を引き受けないといけないので、つらくなる。
ですから、「好き・嫌い」で決めることが、「自分にはフィットしない」と思うのなら、世間一般の基準に従えばいいのです。
結局、どうするかを決めているのは、自分だということ。
「好き・嫌い」は、「損・得」、「好ましい・好ましくない」、「いい感じ・嫌な感じ」、「フィットする・フィットしない」など、いろいろな言い方で表現することができます。
日頃から、「好き・嫌い」を意識して過ごしていくと、自分を大切にする感性が磨かれます。