「発達凸凹」と「発達障害」は違うの?

2020年9月18日

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「発達障害」という言葉が、ここ数年のうちに、テレビやインターネットなどのメディアでも、よく取り上げられるようになりましたね。

そして、「発達障害」ほどメジャーではありませんが、「発達凸凹」という言葉もあります。

「発達障害」にまつわる言葉は、あれこれ流布しているので、何が何やら、分からなくなってしまう…。

今回は、そんなあなたのために、「発達障害」と「発達凸凹」についてお伝えします。

 

「発達凸凹」と「発達障害」の違い

 

精神科医の杉山登志郎先生の著書によると、

「発達凸凹」とは、もともともっている能力のバラつき。

「発達障害」とは、もともともっている能力のバラつきに加えて、日常生活で困ることが多くなった状態。

それぞれについて、詳しく説明していきますね。

※引用・参考文献 「発達障害のいま」(2011)杉山登志郎 講談社現代新書

 

「発達凸凹」とは?

「発達凸凹」とは、認知に、高い峰と低い谷の両者をもつ子どもと大人である。

    ―「発達障害のいま」(2011)杉山登志郎 講談社現代新書より

 

「認知」とは、「周囲にあるものを、五感を使って認識して、それが何であるかを判断、解釈、推論したり、記憶したり、問題解決したりする、知的な活動」のこと。

 

杉山先生が提唱する「発達凸凹」とは、すご~くひらたく言えば、「生活するうえで、得意なこと(凸)と、苦手なこと(凹)の差が大きい」といった特徴をもつ人のことです。

 

また、「発達凸凹」の「凸凹」は、ほかの人と比べたときの「得意(凸)」、「苦手(凹)」ではありません。

その人の中で、「得意(凸)」と「苦手(凹)」の差が大きいということです。

 

つまり、日々の生活を送る際に、特定の分野では力を発揮するのに、ほかの分野では別人のように力が発揮できない…。

能力のバラつきが大きいという特徴をもっているのが、「発達凸凹」です。

 

「発達障害」とは?

狭義の発達障害とは、発達凸凹に適応障害が加算されたグループである。
式で表せば、次のようになる。

発達凸凹+適応障害=発達障害

―「発達障害のいま」(2011)杉山登志郎 講談社現代新書より

 

杉山先生が定義する「発達障害」とは。

「発達凸凹(生活するうえで、得意なことと苦手なことの差が大きい人)」に、

「適応障害(環境とのミスマッチによって、ストレスが高まり、生活に支障が出る状態)」が加わると、

「発達障害」という診断にいたります。

 

つまり、「発達障害」とは、得意なことと苦手なことの差が大きいことに加えて、生活に支障が出ている状態をさします。

診断基準(発達障害に特有な特徴を備えている+生活に支障が出ている)を満たした場合に、医師が、「発達障害」という診断をくだすことと、ほぼ同じです。

 

ただし、「発達の凸凹」があっても、環境に恵まれていれば、「発達障害」にはならない。

「発達の凸凹」という言葉を作り出すことによって、「環境を整えることの重要性」があぶり出されています。

 

「発達凸凹」という言葉が生まれた経緯

 

杉山先生によると、「発達障害の特徴をもって生まれた人」は、「発達障害の診断がつく人」5倍以上は存在しているとのこと。

得意なことと苦手なことの差が大きい人は、たくさんいるんだから、「発達障害の特徴をもって生まれた人」の環境を整えて、「発達障害という状態にいたる人」を減らしたい。

そんな思いから、「発達障害の特徴をもっている状態」を、「発達凸凹」とネーミングしたそうです。

 

名前をつけることで、認知度を上げ、人々の理解を高め、発達障害という状態にいたることを予防していこう、という配慮なのでしょう。

「虐待」や「ハラスメント」も、名前がついたことで、認知度がグッと上がりましたからね。

 

児童精神科で、たくさんの子どもたちを診療してきた杉山先生。

「得意なことと苦手なことの差が大きいという状態は、マイナスとは限らない」という思いから、「発達凹凸(オウトツ)」ではなく、「発達凸凹(デコボコ)」と、出ている部分が先になるようにしたんですって。

 

「発達凸凹」のもつ良さを大切にしたい、

「発達凸凹」が苦しい思いを抱えることを防ぎたい、

という杉山先生の深い思いを感じます。

 

「発達障害」を表す言葉のあれこれ

 

「発達障害」には、「障害」という言葉が含まれているため、ネガティブなイメージがあります。

英語だと「disorder」と表記される部分が、日本語で「障害」と訳されたために…。

「disorder」は、「不具合」ぐらいの意味なんですけどね。

 

マイナスな印象を取り去るため、「発達障害」にまつわる言葉には、さまざまな配慮がなされています。

 

「害」という漢字を避けるため、「発達障碍」「発達障がい」と表記したり。

精神医学の分野では、2014年から「神経発達症」と診断名を変えたり。

 

「発達障害」には至らない状態を表す表現にも、さまざまなバリエーションがあります。

  • 発達障害グレーゾーン(約201,000件)
  • 発達凸凹(約191,000件)
  • 発達の偏り(約60,700件)
  • 発達のアンバランス(約22,600件)

※(   )内は、Google検索ヒット件数。

 

「発達障害グレーゾーン」という言葉は、姫野桂さんの著書のタイトルで有名になりました。

でも、「グレーゾーン」って、どっちつかずなイメージがあって、その人特有の味わいが感じられない…。

 

私は、「発達凸凹」のほうが好きです。

「凸凹」という響きが、ちょっとダサい感じもしますが、得意なところが出っ張ってて、苦手なところが引っ込んでいるイメージが、かわいらしいので。

 

 

いかがでしたか?

今回は、「発達凸凹」と「発達障害」の違い、「発達凸凹」という言葉が生まれた経緯、「発達障害」を表す言葉のあれこれ、についてお伝えしました。

今回の記事を書きながら、杉山先生の思いが胸に響いています。

「発達凸凹」の人が心穏やかな毎日を送れるようサポートしていきたい、という思いを新たにしました。

※初めのころに書いた記事では、「発達の偏り」と書いていたので、ちょっとずつ書き直していきますね。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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