「発達障害」があって、「傷つく体験」を重ねると、「苦しい思い」にとらわれる

2020年9月3日

悩みや苦しみから、なかなか解放されない人。

そうした人を何人も見てきて、あることに気づきました。

「発達凸凹(発達障害)」をもっている人が、「傷つく体験」を重ねたことで、「苦しい思い」にとらわれるのではないか。

 

たとえば、私の母の場合。

感情のふり幅が大きく、「機嫌のいいとき」と、「機嫌の悪いとき」が、まるで別人。

私には、母の言動が、理解できませんでした。

 

ところが、心理カウンセラーとして仕事をするようになって、母によく似た雰囲気の男の子に出あいます。

「クラスになじめない」という男の子は、病院で「発達障害」の診断を受けていました。

私は、ハッとします。

もしかしたら、母にも、「発達凸凹(発達障害)」があるのかもしれない。

 

ちなみに、「発達凸凹」は、生まれつき得意なことと苦手なことの差が大きいという特徴のことを言い、この特徴のせいで日常生活に支障が出ると、「発達障害」になります。

 

「発達凸凹(発達障害)」をもとに、母の言動を見ていくと、「なるほど~」と、腑に落ちていきます。

「発達凸凹(発達障害)」をもっていた母が、「傷つく体験」を重ねたことで、「苦しい思い」にとらわれていたのです。

 

「発達障害」の特徴については、こちら。

診断はつかなくても、「発達凸凹(発達障害)」をもっている人がいる

私の母は、病院で、「発達障害」の診断を受けたことはありません。

でも、「自閉スペクトラム症」の特徴に、当てはまることが多いのです。

 

①集団の中でコミュニケーションをとることや、ほかの人とのやり取りが、難しい。
  • 私の結婚式で、人が死んだ話を楽しそうにしており、私の妹に注意される。
  • スイッチが入ると、自分の趣味や、だれかの悪口を、数時間にわたって、話し続ける。
  • 私の話に興味が持てないと、つまらなそうな顔をして、話を終えようとする。
  • 同窓会や人が集まるパーティを嫌がり、ほとんど参加しない。
  • 30代以降、友だちは、1人だけいたが、一緒に出かけることは、ほとんどなかった。
②行動や興味が、偏っている。
  • 知らない場所での外食、新しい土地への旅行は、したがらない
  • 一度、嫌いになると、その相手を、とことん嫌う。
  • 「良い」と思ったものを、絶賛し、相手が嫌がっても、押しつける。
  • 「物」をコレクションするのが、好き。
  • 趣味を、とことん極める。
  • 礼儀作法、言葉づかい、世間の常識に、うるさい。
  • におい(臭覚)が、とても敏感(過敏)。
  • 仕事(興味のある分野)では、高い能力を発揮する。
  • 家事(興味のない分野)は、やればできるが、やらない。

「発達の偏り(発達障害)」をもつ人は、「傷つく体験」が、深く心につきささる

私の母は、「傷つく体験」も、重ねていました。

  • 実父(母方祖父)が反対したため、行きたい高校へ行けなかった。
  • 大学へ進学したかったが、家庭の事情で、あきらめた。
  • 高卒後に勤めた会社で、いじめ(嫌がらせ)にあった。
  • 父方祖父母と同居し、嫁姑、親族との関係で、つらい思いをした。

 

「傷つく体験」は、多くの人の心にも、マイナスの影響を与えます。

ですが、「自閉スペクトラム症」の傾向がある人の場合。

「人とのやり取りが、難しい」、「行動や興味が、偏っている」といった特徴から「発達の偏り(発達障害)」がない人以上に、「傷つく体験」が、深く心につきささってしまうのです

 

①自分の気持ちを客観的に見つめて、整理することが苦手。⇒感情のコントロールが難しい。

②人から嫌なことを言われた・された場合、うまくかわすことができない。⇒真に受けてしまい、ひどく傷つく。

③言われて嫌だった言葉、傷ついた場面を、くり返しくり返し思い出してしまう。⇒時間が経つほど、ダメージが大きくなる。

 

私の母も、「自閉スペクトラム症」の特徴のために、「傷つく体験」から、大きな痛手を受けていたのです。

「発達凸凹(発達障害)」がある人は、「苦しい思い」にとらわれてしまう

「発達凸凹(発達障害)」があり、「傷つく体験」をした人は、「苦しい思い」にとらわれてしまうことがあります。

 

「自閉スペクトラム症」の傾向がある人の場合。

「人とのやり取りが、難しい」、「行動や興味が、偏っている」といった特徴から「発達の偏り(発達障害)」がない人以上に、「苦しい思い」を、強めてしまうのです

 

①人と、ほど良い距離を取ることが、難しい。⇒相手に依存する(甘える、攻撃する)、相手と関わらないなど、極端な対人関係をとってしまう。周囲の人たちからの援助が、得られにくくなる。

②あいまいなことが嫌いで、白黒ハッキリつけると、安心する。⇒「相手が悪い」、「自分が悪い」という一時的な判断を、絶対的な判断と思いこんでしまう。⇒相手への恨み、自分を責める気持ちが、どんどん強くなる。

③不安なことがあると、こだわりが強くなる。⇒新しい行動を起こすことが、難しくなる。⇒本当はやりたくないことでも、やめられない。

④嫌な体験を、ハッキリと記憶している。⇒ふとしたきっかけで、「傷ついた体験」を、ありありと思い出してしまう。愚痴を言うことが、ストレス発散にならず、「苦しい思い」を強めてしまう。

 

私の母も、私や父に対して、甘えと攻撃をくり返し、自分の「苦しい思い」を発散させていました。

そして、父方の親戚が「悪い」と憎んでおり、関わらないようにしてはいましたが、「より良い人間であらねば」というこだわりから、お中元やお歳暮は、欠かしませんでした。

父方の親戚の悪口を言う度に、母の「苦しい思い」が増していくように感じていました。

 

「発達凸凹(発達障害)」をもっている人が、苦しみのループから抜けることができるかどうかは、その人次第です。

「発達凸凹(発達障害)」がない人よりは、難しいことがあるかもしれませんが、不可能ではありません。

「発凸凹(発達障害)」があることを、自覚する

それが、スタートです。