【私が癒えるまでの全記録】⑦ 相手の存在に癒される

2020年9月13日

自分の行動にダメ出しや叱責を与える考えが、頭の中でくり返され、身動きが取れなくなる私。

たいていの場合、「その場から離れ、二度と近づかない」という対処法で、乗り切ってきました。

日常生活でよく起こりがちな出来事。

ハコミセラピー(心と身体の両方に働きかけるセラピー)の場でも、スケールアップして起こっていたのですが、いつもとは違った展開となります。

私の否定的な考えをストップさせ、私の行動を変えたのは、参加者の「号泣」「いびき」

つまり、「その人らしく、そのままに存在する」という、参加者の素朴な「在りよう」でした。

 

参加者の号泣する声に引きとめられる

 

「ハコミセラピー」のBeingコース(体験を重視し、自分らしい在り方を見つめるコース)に参加して、たわいもないおしゃべりをするとき、ワークをおこなうとき。

ちょっとでもうまくいかないことがあると、私を責める考えが、頭の中でくり返されました。

 

私を責める考えを、私は、心の中にいるキャラクターの1人ととらえ、「タカハシさん」と名づけています。

「ハコミセラピー」のBeingコースに参加した初日から、「タカハシさん」は、私がいかにダメな人間であるかを、しつこいほどに言及してきました。

 

「ハコミセラピー」のBeingコースに参加して、5日目。

とうとう、「ハコミセラピー」のワークに参加することができなくなり、座布団の上にうずくまっていました。

「ハコミセラピー」はやめよう、頃合いをみはからって、家へ帰ろう、と思っていたとき…。

 

ある参加者の女性が、大声をあげて泣いているのが聞こえてきました。

その女性は、ここ数ヶ月の間に、あいついでご両親を亡くされていたのです。

 

突然、私の中に、「一緒に泣きたい!」という思いが、ドワッとわきあがってきます。

気がつくと、私は、その女性のそばに座り、一緒においおい泣いていました。

 

泣いている女性と、ちょっとつながりたい感じがして、相手の足の指先と私の足の指先をチョンとくっつけてみたら、すごく安心しました。

いきなり、親しくもない参加者がそばへ近寄り、足の指先をくっつけてきても、大泣きしていても、“一緒に泣いていい”という、受容的な雰囲気があります。

近くにいたハコミ公認トレーナーの女性も、私の足先にチョンと指先をくっつけてきました。

さらに安心します。

 

足先を二人とくっつけたまま、たくさん泣いたら、「もうちょっとだけ、この場にいてみよう」という気持ちになりました。

 

参加者のいびきに癒される

 

私は、参加者の号泣のお陰で、かろうじて、「ハコミセラピー」の会場にとどまったものの、引き続き、ワークには参加できませんでした。

 

私の様子を見たからか、ハコミ公認トレーナーの女性が、部屋を2つに分けました。

部屋の半分にはワークに参加する人、もう半分にはワークに参加しない人を集めます。

私は、ワークに参加しないほうに移動。

 

すると、私の心の中にいる批判的なキャラクター、「タカハシさん」が、グチグチ言い始めます。

  • 心根のすばらしい人たちは、つらい思いを抱えていても、ちゃんとワークに参加できて、どんどん改善していく。
  • ワークにすら参加できないあなたは、本当にダメな人間だし、改善なんてできるはずがない。

 

ワークに参加しないのは、私一人だけと思っていたのに、私のほかに3~4名も、参加しないほうの部屋に移動してきました。

またまた、私の心の中にいる批判的なキャラクター、「タカハシさん」が、また、私を責めます。

  • ほかの人は、ワークに参加したかったのに、初心者のあなたが不参加だから、同情してつきあってくれた。
  • あなたは、ほかの人が、ワークに参加する機会を奪った。

 

私が、「タカハシさん」の批判にへこたれ、ひざを抱えて、しょんぼり座っていると、ほかの参加者は、床に寝転がっています。

そのとき、ある参加者の女性が、いびきをかき始めました。

 

「なんと!

いびきをかいて、ガッツリ寝ている!

私がかわいそうだから、付きあったんじゃなくて、ワークには、本当に参加するつもりがなかったんだ!」

 

そう思うと、あんなにつらかった気持ちが、スーッとひいてなくなります。

 

ハコミ認定セラピストの女性が、私のミニワークをリードしてくれました。

寝転がっている参加者の協力を得てもいいとのこと。

 

いつもなら、「タカハシさん」が、「あなた一人のために、参加者の手をわずらわせて、プログラム以外のワークをしてもらうなんて、図々しい!」と、騒ぎ立てます。

ですが、いびきをかいて寝ている女性を見ると、「タカハシさん」も、さすがに静かに…。

 

私は、寝転がっている参加者たちに、互いの足の親指をくっつけてもらい、私もその輪の中に入って、「マインドフルネス」をおこないました。
「マインドフルネス」とは、ゆっくりと深呼吸をしながら、目をつぶり、自分の身体を感じていくものです。

対人恐怖の症状で苦しんでいた私にとって、足の指先だけで人とつながる距離感は、ここちよく、安心して人とつながる感触を味わうことができたのです。

 

「その人らしさ」が、心を解きほぐす

 

「ハコミセラピー」のワークの最中に、号泣していた女性、いびきをかいて寝ていた女性。

2人とも、「ハコミセラピー」のグループワークに、10年近く参加してきた方たちです。

「ハコミセラピー」での体験を通して、「自分らしく在る」ということを、体現しています。

 

「その人らしく、そのままに存在する」という、参加者の「在りよう」

「考え方のクセ(ビリーフ)」にとらわれない、「その人らしさ」が、あまりにも自然で、存在感がありすぎる!

そのため、私の心の中にいる批判的なキャラクター、「タカハシさん」も、「その人らしさ」に見ほれてしまった!

そして、私に対して、いつもの叱責を出しそびれてしまったのです。

 

「タカハシさん」が静かだと、私は動きやすくなります。

「自分らしく在る」ということは、その人自身にとっても大切なことですが、周りの人にも影響を与えるのだということを痛感しました。

 

特に、私のように、自分で自分をしばっているタイプにとって、一緒に過ごす人たちの「その人らしさ」は、最高の特効薬となりました。

意表をつくぐらいが、凝り固まった心には、効果的なんだなあと思いつつ…。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

続きはこちら。「タカハシさん」には「ポジティブな思い」がありました。