【私が癒えるまでの全記録】⑪ 自分を嘆く存在が消えた
自分を「否定する部分」を「悪者」と決めつけ、「修正してやろう。消してやろう」と意気込んでいると…。
自分を「否定する部分」は、かたくなになったり、姿を現さなくなったりします。
そんなときは、自分のことを「否定する部分」が信じていることと、まったく逆の体験をするのも手です。
私の場合は、私を「否定する部分」が、ショックを受け、一時的に消えてしまいました。
今回も、私の体験をもとに、お伝えします。
自分のことを「否定する部分」を活性化させる
自分を「否定する部分」に、新しい体験をさせる前に、まず、活性化させることが効果的です。
私が、「ハコミセラピー(心と身体の両方に働きかけるセラピー)」のBeingコース(体験を重視し、自分らしく在ることを大切にするコース)に参加して、2年半~3年が経とうとしていた頃。
私は、ハワイのモロカイ島で行われた、7泊8日の「ハコミ・リトリート」に参加しました。
※「リトリート」とは、仕事や家庭などの日常生活を離れ、自分だけの時間をもって、疲れを癒す方法のことです。
「ハコミ・リトリート」の主催者は、ドナ・マーチンさんとジョージア・マービンさん。
2人とも、「ハコミセラピー」のシニアトレーナーの資格をもつ、カナダ人です。
日本語通訳がついて、7泊8日の日程。
参加者は、世界各国から集まり、全員で20数名、うち、日本人は、私も含めて9名。
朝から「ハコミセラピー」のグループワークをおこない、食事も三食一緒にとり、ロッジで寝泊まりすると。
グループワークで自分自身を掘り下げ、日常からかけ離れた生活を送っていると、心の内側にあるものが、こわいほどにハッキリしてきます。
海外からの参加者が、好意的な態度で話しかけてくると…。
私の心の中にいる、指示的な年配女性キャラクター、「タカハシさん」が、久々に騒ぎ始めます。
- 好意をもってくれている人には、こちらから積極的に話しかけないといけない。
- 相手が関心を持つ内容を選んで、気のきいたことを言わないといけない。
- 相手に嫌な思いをさせるから、黙っていてはいけない。
「タカハシさん」のハードルが高めな指示に戸惑い、私は、動けなくなります。
すると、今度は、私の心の中にいる、嘆きと苦悩を専門とする女の子キャラクター、「きいちゃん」が苦しみ出します。
- 自分から積極的に話しかけることもできないなんて。
- 気のきいたことも、言えないなんて。
- 何も言えずに、黙っているなんて。
- やっぱり、私は、ほかの人とは違って、ダメな人間なのね。
とたんに対人恐怖の症状が出て、ギクシャクしてくると、「ハコミセラピー」のワークにも参加しづらくなってきます。
すると、嘆きと苦悩のキャラクター、「きいちゃん」が、どんどん思い込みを強めていきます。
- ほかの参加者は、私と一緒にワークをすることを、迷惑だと思っている。
- 私だけ、気づきが浅くて、使いものにならない。
- やっぱり、私は、ほかの人とは違って、ダメな人間なのね。
自分のことを「否定する部分」が活性化し、「考え方のクセ(ビリーフ)」が前面に出てきます。
準備は整いました。
「考え方のクセ(ビリーフ)」とは、まったく逆の体験をする
私の心の中にいる、「きいちゃん」というキャラクターは、私が理想的な人間になっていないと、嘆き、悲しみます。
「きいちゃん」の「考え方のクセ(ビリーフ)」は、「私は、ほかの人とは違って、ダメな人間だ」。
「ハコミ・リトリート」のグループワークに参加していながら、私は、私の価値観の中に、どっぷりつかっていました。
それを打ち破ったのが、私の心の中にいる、元気な女の子のキャラクター、「なおちゃん」です。
「なおちゃん」は、体験をシェアする時間に手をあげ、自分の内面で起こっていることを話しだします。
- 私は、自分のことを「ゴキブリ」のような人間だと思っている。
- 心の中に「きいちゃん」というキャラクターがいて、「私は、ほかの人とは違って、ダメな人間だ」と信じている。
- 「ハコミ・リトリート」に参加していても、自分だけが汚い存在で、みんなから嫌がられている感じがする。
- 実は、日常生活も同じ感じのことが起こっていて、いつもツライ。
すると、シニアトレーナーのドナ・マーチンさんが、「自分がゴキブリのような存在だと思う人は手をあげて」と、参加者に聞きました。
なんと、ほとんどの人が手をあげている!
ドナさんは、「じゃあ、みんなで、ゴキブリダンスを踊りましょう!」。
私も含めて、20名弱の参加者が立ち上がり、前の人の肩に手を置いて、大きな輪になります。
そして、「ラクラカーチャ」というメキシコ民謡を歌いながら、片足ずつ前方にリズミカルに出し、身体をゆすって、踊り出しました。
「ラクラカーチャ」とは、スペイン語で「ゴキブリ」のこと。
「ゴキブリダンス」の後、海外からの参加者たちが、私に近寄ってきて、「私も、あなたと同じ気持ちを抱いていて、ずっと苦しんでいた。一緒に踊れて良かった」とハグしてきました。
「きいちゃん」がしがみついているのは、「私は、ほかの人とは違って、ダメな人間だ」という「考え方のクセ(ビリーフ)」。
ところが、「ハコミ・リトリート」のワークで、その考えとは、まったく逆の体験をします。
- 文化も違う、異国の人なのに、私と同じ気持ちをもっていた。
- しかも、私と一緒に踊ってくれた。
- 踊れて良かったと言ってくれた。
特に、「異国の人は、日本人とはまったく違った感性をもっている」と信じ込んでいた「きいちゃん」は、「異国の人も、同じだった」という体験に、あり得ないほどの衝撃を受け、フリーズしました。
自分を「否定する部分」が消える
「ハコミ・リトリート」のグループワークが全て終了したとき。
「はるばるハワイまで、お金と時間をかけてやってきたのに、特に得るものがなかったなあ」と思ったら、私は、とてつもなく悲しくなり、涙が止まらなくなりました。
声をあげて、小さな子どものように、しゃくりあげて泣くことしかできません。
今から思えば、「きいちゃん」が、「ゴキブリダンス」の一件で衝撃を受け、消えてしまったことで、心の中のバランスが崩れていたのです。
私が、思い通りの結果を出せなかったとき、「きいちゃん」が嘆くことで、とりあえず、「私が悪い」という結論にいたります。
「私が悪い」という結論にいたると、モヤモヤとしたネガティブな感情は浮かびますが、「悲しい」という感情は、感じないですんで済んでいたのです。
悲しんで泣いている子どもに、「あんたが悪いんだから、あきらめなさい」と言って、泣くのをやめさせようとする親に似ています。
私のことを「否定する部分」には、私を「守る働き」もあったのです。
ちょっと荒療治ですが、頭で考えすぎて、自分が分からなくなってしまったときは、「体験する」という方法が使えます。
いろいろな体験を重ねる人ほど、気づきが多いのもうなずけます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
続きはこちら。自分を否定する部分がなくなったら、こんな事になってしまいました…。