【私が癒えるまでの全記録】⑭ 母を守りたい子ども

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「ダメな人間だから、母には認めてもらえない」と感じていたのに、自分を知ることを重ねていった結果、「そのままの私でも、母から愛される」という、新しい体験を得た私。

その後、母と私との関係性、つまり、「母を守りたい子ども」という構図にも、初めて気づきました。

今回は、私の本質にあるテーマに気づいた体験を、前後のエピソードも交えて、お伝えします。

 

新しい体験を否定する

 

2019年の3月。

私は、「ハコミセラピー(心と身体の両方に働きかける心理療法)」のスペシャル・ワークショップに参加し、「そのままの私でも、母から愛される」という体験をしました。

しばらくは、感動に包まれるような状態。

 

ところが、1時間も経つと、心の奥底から、「今の体験は、嘘っぱち。たまたま、気分が盛り上がって、根も葉もないところから、架空の物語が出てきただけ」という思いがわきあがってきます。

それで、参加者全員の前で、「私が体験したことは嘘っぱち、という考えが浮かんで、混乱している」とシェアをしました。

 

すると、ワークショップを主催していた、カナダ人のハコミ・シニアトレーナー、ジョージア・マービンさんから、「しっかり現実を見なさい」というコメント。

私の体験は、周囲の人たちも見ていた本物(リアル)であり、嘘っぱちの要素はない、というメッセージなのですが…。

 

私は、ジョージアさんの言葉を素直に受けとめられません。

「ジョージアさんは、他の参加者には優しい言葉をかけるのに、私には厳しい言葉。ダメな人間は、嫌われて当然だし、厳しい言葉しか返ってこない」という思いがわいてきます。

 

天にも昇るような体験に、泥がぬられたような心もちになってしまいました。

 

母を守るために闘う私

 

スペシャル・ワークショップの数日後、私は、ジョージア・マービンさんによる公開個人セッションを受けました。

参加者全員が見守る前で、個人セッションのクライエント(相談者)になるのです。

 

私の順番が来て、緊張しながらも、母との関係に縛られている自分について話すと…。

ジョージアさんは、「何があると安心しますか」と私に尋ね、私が答えると、参加者をうまく配置して、私の心の中を表現していきます。

 

最終的に出来上がった構図は、

恐ろしい魔物におびえる、少女のような私の母。

母を守るために、鎧で身を固め、大きな刀を振り回して魔物を切りさく、勇ましい女性戦士。

 

そして、詳細が見えてきます。

魔物は、母の不安や怖れ。

母が、不安や怖れを感じるたびに、魔物は無尽にわいてきて、この闘いに終わりはない。

女性戦士は、母を守るために、不眠不休で、永遠に、魔物と闘わなければならない。

 

母は、気丈だし、とても賢い人なので、家庭でも仕事でも、やるべきことをしっかりこなしていましたが…。

母は、どこかで、心が壊れてしまっていたのかもしれません。

 

母は、行き場のない不安や怖れを、私にぶつけていた。

私は、母が好きだったから、母を助けたかったし、頑張って母を助けることで、母に「大好きだよ」と言ってほしかった。

 

幼い私は、そんな力なんかないのに、母を守るために、女性戦士の役割をとり、終わりのない闘いに足を踏み入れてしまったんですね。

ある意味、私は、母に取り込まれていたので、母から精神的に距離を取ることが難しかったのです。

そのことに初めて気付きました。

 

母との関係性から距離をとる

 

公開個人セッションが終わった直後から、少女の姿をした母が、魔物のような形相になって、私に金切り声をあげるイメージが浮かんできました。

 

さっきのセッションは、いい加減で、嘘っぱち!

あんたは、あの女(ジョージアさん)に、だまされてる。

 

ほかの人(私以外にも2人が、公開個人セッションを受けた)とは、ハグしたり、温かく微笑んだりしてるのに、あんたとは、あっさりしたもの。

周りに人を配置したら、それでおしまいって、どうなの。

適当におこなわれたセッションなんて、何の意味もない!

 

「ジョージアさんは、プロフェッショナルだから、私に嫌な感情を抱いたとしても、最善のセラピーをするはず」

 

そう反論すると、少女の姿をした母は、ムンクの叫びみたいな形相になって、私に対して罵詈雑言を浴びせてきます。

あんたは、ママの言うことを信じないの!

あんな嘘っぱちセラピストのほうを信じるなんて。

だから、あんたは、バカで、何をやってもダメなのよ!

 

このまま追いつめられたら、気がふれる。

そう思った私は、「ジョージアさんは、プロフェッショナル!!」と心に刻んで…。

 

魔物に襲われると騒ぐ母、襲いかかってくる魔物を大きな刀で斬り倒す甲冑の女性戦士をイメージします。

「女性戦士さん、母を守ってください」と祈りをこめ、母と女性戦士、私との間に、次々とカーテンを引き、母と女性戦士が異次元に移っていくイメージを思い描きました。

 

何重にもカーテンを引くうち、母と女性戦士の姿は、遠くに見えなくなり、私の心の中は、静かになりました。

 

 

ジョージアさんとの公開個人セッションで、私と母の本当の関係性が見えてきました。

母は、どこかで私に依存していたし、私も母の要求に応えなければいけないと感じていた。

母の存在が、私の中に深く根づいているからこそ、私は私らしく生きることができず、母とほど良い距離をとることも難しい。

でも、母と私との関係性に気づいてから、母との間に、ちょっとだけ距離が取れるようになり、これまた、ちょっとだけ、心が軽やかになりました。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

続きはこちら。母が私をくたす言葉を残して亡くなり、深い悲しみを自力で整えないといけなくなりました。


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